ミスしたら「どうしよう」ではなく「こうしよう!」気持ちが落ち着く“とりあえずのフレーズ”を持つ秀島史香さん(写真:著者提供)

 ラジオDJとして25年、第一線で活躍し続ける秀島史香さんだからこそ見つけられた、誰でも再現できる「人が聞き入ってしまう会話のレシピ」を一冊に詰め込んだ『なぜか聴きたくなる人の話し方』からの連載。今回は、失敗してしまったとき、傷を大きくしないための心得をご紹介します。

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「ミスを避けよう」がミスのもと

「絶対、ミスしちゃいけない」と思えば思うほど、してしまうもの。そして、一度ミスをすると、悲しいかな、立て続けに重ねてしまうことも。テレビの情報番組のナレーターをしていたときがそうでした。

 ナレーションブースに原稿と一緒に入り、モニターに流れてくる映像にピッタリ秒数を合わせながら読んでいくという仕事なのですが、やり直しが利かない生放送。ナレーションと映像がズレてしまうことも起きます。「失敗できない」という気持ちが最大限になり、細心の注意を払いますが、その緊張感、プレッシャーに心が揺らいでしまうことも。普段はしないような読み間違いをしたり、漢字が読めなくなってしまったり、とちってしまったり……。

「ミスできない」「失敗しちゃいけない」と自分に言い聞かせれば言い聞かせるほど、人間のイメージ力は不思議なもので、そこにスーッと吸い寄せられてしまうのです。

 誰だって、どんなに気をつけていても失敗はします。だからこそノーミスに固執せず、「ミスはするもの、起きるもの」と構えておくことで、精神的に自分をラクにしてあげましょう。その状態でいるからこそ不安から解放され本来の力を出すことができる、と思ってしまうのです。

 もちろんミスをしないに越したことはありませんが、前もってしっかり心構えを作っておくことで、精神的余裕が変わってくるんですよね。

「どうしよう…」ではなく、「こうしよう!」

 結婚式のスピーチやプレゼン、自己紹介や「お一人ずつ一言お願いします」の状況で、頭が真っ白になってしまった経験はありませんか。どうにかごまかそうとすると余計に焦るし、聞いているほうはいたたまれない気持ちにも……。

 そんなとき、

<ごめんなさい。ちょっと緊張で頭がフリーズしてしまって……。いま再起動しますので、しばしお待ちください>

 といった感じで今の状況を自分で認めて口にする。