大量解雇のあと、スタッフにした話は「至極真っ当」だった
その一つの証しが、大量解雇の1週間後、解雇されなかったTwitter社員との最初のミーティングで明かされた、マスク氏の運営方針である。ザ・バージの記事によれば、このミーティングでマスク氏は以下のようなことをスタッフへ通達したという。
・街の広場のような役割を果たすために、ユーザー数10億人を目指す
Twitterを本当の意味で世界的にインパクトをもたらすプラットフォームに成長させるには、そのくらいのユーザーベースが必要。
・会社が破産宣告を受けるような状況とは?
ユーザーが10億人いても赤字では意味がないので、優れたサービスによって課金を促す。
・有償の認証制度によって詐欺ボットなどを駆逐
現状では無料で無数のボットを作れてしまうことがサイバー犯罪を招いているので、課金によって悪意のあるユーザーには割が合わない状況を作り出す。
・Twitterを介したバンキングサービス
決済ビジネスは重要で、Twitter経由でのリアルタイム送金の全世界展開を実現したい。
・リモートワークについて
特別優秀な人間以外、リモートワークは禁止。オフィス勤務のほうが、良いコミュニケーションができ、生産性も上がる。(筆者注:シリコンバレーでオフィス勤務を推奨しているのはマスク氏だけではない。例えばAppleのティム・クックCEOも、「偶然の出会いを大切にし、アイデアを出し合い、自分のアイデアを他の誰かに譲ることで、より大きなアイデアになることを知っている」ため、最低週3日のオフィス勤務を義務付けている)
・TikTok並みに容易なオンボーディングの実現
アカウント登録なしでもユーザーの興味をひくような情報が表示されることで、利用開始時のハードルを下げる。その結果からユーザーの好みを分析し、それに合ったツイートが表示されるようにする。
・動画クリエーターに対するTikTok+YouTube的なプラットフォームの可能性
Twitter内の動画の長さ制限をなくし、かつ、マネタイズできるようにする。そのために、ユーチューバーに対してYouTubeよりも良い条件でTwitterへのコンテンツ投稿を促すことも検討。
・優れた機能の告知の徹底
Twitterにおける動画のフルスクリーン再生機能を気に入っているが、一般にはあまり知られていない。それは告知に問題があるためなので、これを改善する。
・広告のレベニューシェアと同時にサブスクリプションも充実させる
有償サブスクリプションのユーチューブ・プレミアムとユーチューブ・ミュージックは、ビジネス的には成功していない(YouTubeの全ユーザー26億人に対して、登録者は8000万人のみ)ので、それを超えることを目指す。
・レコメンドエンジンと広告エンジンの統合化
今は、ツイートのレコメンドと広告表示を別々のエンジンで行っているが、両者の関係性は高いので、エンジンも統合すべきだ。
・エンジニア・ドリブンな企業文化の重要性
技術を発展させていくうえで、Twitterにおいてもエンジニア中心の企業文化を浸透させることが大切。ただし、管理部やデザイン部門よりもエンジニアリング部門が上なのではなく、それらの部門すべてがイーロン・マスク氏直下となるような組織をイメージ。