AIによる画像生成や複数人編集で
重要となる「クレジット」機能

 さて、ここまで話してきた「AIによる生成」や「複数人による編集」においては、「誰がその画像をつくったか」をどう認証するかという点がより重要になってきています。アドビが他の企業やクリエイター、技術者、ジャーナリストと運営するコミュニティ「コンテンツ認証イニシアチブ(CAI)」では、写真のクレジットに関してあるプロジェクトを進めています。

 デジタルカメラやスマートフォンで撮影した写真には、通常、撮影したカメラの種類や撮影日時、シャッター速度や絞り、ISO感度などの情報や、GPSによる位置情報など「Exif」と呼ばれるメタ情報が含まれています。ただし、Exifは改変、削除することが可能です。

 CAIが標準化を進めるメタ情報はExifに非常に似ていますが、セキュリティ的に改変できないかたちで写真データに埋め込まれ、画像情報とともにその来歴情報が残るようになっています。今回のAdobe MAXでは、カメラメーカーとしてニコンとライカが、この規格に沿った製品を開発し、発売する予定であることが発表されました。

 会場のニコンのブースには、来歴情報を記録する機能を搭載したカメラの試作機も展示されていました。このカメラで撮影すると、来歴が付帯情報として画像データに入ります。

 同様に、フォトショップにも画像の来歴を「コンテンツ認証情報」として残す機能があります。私も、以前撮影した写真を加工して、来歴を画像ファイルに添付してみました。

人とAIのコラボが生み出す「仕事を奪うのではなくサポートする」クリエイティブとはフォトショップによるコンテンツ認証情報の例。元となる画像をどのように加工したか来歴が残る
人とAIのコラボが生み出す「仕事を奪うのではなくサポートする」クリエイティブとは 加工した画像ファイルを書き出す際、コンテンツ認証情報をファイルに添付することができる