毎日、米国の大企業が解雇発表を行っているように感じられる。だが、どんなに目を凝らしても、労働市場の統計にこうした解雇の傾向を見つけるのは難しい。米労働省が11月30日に発表した10月の「雇用動態調査(JOLTS)」(求人数と離職者数)の中で、解雇された、または離職した人の数は139万人(季節調整済み)だった。これは、9月の133万人からはやや増えたものの、やはり極めて低い水準だ。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が起きる前の利用可能な20年間のデータ(米国の人口と労働力が現在よりも特に少なかった期間を含む)では、この数は159万人を下回ったことがない。この報告書の他の部分でも、10月末までの労働市場は堅調だったことが示されている。10月末時点の求人数は1030万人と9月の1070万人を下回ったが、それでも同月の失業者数1人あたりでは2件ほどになる。雇用者数は離職者数(何らかの理由で仕事を辞める人)よりも32万9000人多かった。このことは、2日に発表される11月の雇用統計(月の比較的早い時期の測定値に基づく)が堅調なものになる可能性を示唆している。