近年、体調を整える手段として注目を集めつつある「断食」。食を断つという言葉からダイエットに効果があることは想像に難くないが、他にも多くのメリットがあるという。忙しい社会人でも生活に取り入れることは難しくないという断食の効果や具体的な方法について、イシハラクリニック副院長の石原新菜氏に話を聞いた。(清談社 小森重秀)
過食気味な現代人が
断食で得られる効果
「食事は3食」。このような固定観念に、とらわれてはいないだろうか。時間のない現代人の食生活は、高カロリー・高タンパク・高脂肪なメニューになりがちで、血液や腸内環境の悪化や免疫力・代謝の低下といった体の不調につながってしまうことが多い。
イシハラクリニック副院長の石原新菜氏によると、食事という行為にかかる体の負担は、一般人が想像するよりもはるかに重いのだという。
「例えば、ステーキを食べるという行為一つとっても、体内では多くの器官が働いています。口内で小さく分解された肉は、胃の中で胃酸に含まれるタンパク分解酵素によってドロドロに溶けていきます。さらに十二指腸で、胆汁やすい液によって細かく消化され、ようやく小腸のひだで吸収されて血液中に運ばれるのです」
また、肉を食べると体内から排出すべきアンモニアも発生するため、消化吸収に加えて排出まで行うべく、体内の各器官がフル稼働する。
「断食を行うと、消化時に負担のかかる体内の器官を休めてメンテナンスする時間を確保できます。断食中は、血液内に残存した余分な糖や脂肪をエネルギーとして使っていくため、断食によって血糖値や中性脂肪、コレステロールの値の低下が期待できます」
さらに、断食によってデトックス効果も期待できるそうだ。
「デトックスとは、毒素や便・尿、汗といった体に必要のないものを排出すること。消化吸収に血液を稼働させる必要がなくなるため、その分排せつに関わる臓器の血流が良くなります。すると、体内にたまっていた不要なものを体の外に出して、スッキリときれいにしてくれるのです」