写真:国会議事堂外観Photo:PIXTA

サッカー・ワールドカップ(W杯)において日本代表がドイツ、スペインといった強国に驚異の逆転勝ちを果たした。その裏で、「増税日本代表」とでも呼ぶべき面々が増税議論を進めていた。選挙前は増税をおくびにも出さず、ときには減税すらにおわせながら、選挙が終われば手のひら返し。そんな永田町政治の手口を見ていこう。(イトモス研究所所長 小倉健一)

増税へと突き進む政治家たち
「増税日本代表」の面々とは?

 選挙のとき、国民の前では「減税しますよ」「国民の負担に寄り添いますよ」と約束をしながら、選挙が終わると途端に増税の話を始めるのが政治家というものだ。当選してしまった以上、選挙前の約束など、もはや彼らの頭の片隅にもない。

 今年の参議院選挙中に、増税を堂々と公約に掲げていた政党が果たしてあっただろうか。私の記憶では、岸田政権は「所得倍増」を掲げていたはずだ(いつの間にか「資産所得倍増」と言葉をすり替えたが)。しかし所得倍増どころか、現在の議論の中心は増税と社会保険料のアップで、所得半減に向かってまっしぐらに突き進んでいるような状況だ。

 検討ばかりで何もしないという批判が根強い岸田政権。しかし、国民負担の議論だけは加速していく。退職金課税の強化(控除の見直し)、相続税の強化、消費税増税の布石といわれているインボイス制度の導入などがその代表例だ。

 国民に与えられるのは総額4万5000円程度の電気・ガス代支援(2023年1~9月の標準的な家庭の負担軽減額)だけという現状を考えると、なぜ、国民はもっと怒らないのか不思議でならない。

 サッカー・ワールドカップ(W杯)の日本代表の勝利で日本人の関心が税制に向いていない間に、コッソリ増税を決めてしまうのではないかと心配でならなかった。

 そこで今回は、「増税日本代表」として、特に増税へと突き進む政治家たちをご紹介していきたい。彼らの手口、実績から、日本の政治構造の一端がよく分かるはずだ。