今回は、「ヒトの控除(人的控除)」がテーマだ。扶養・介護している親がいる人で、控除を見落として大損している人も多い。実体験に基づいて、周囲の税理士やファイナンシャルプランナー(FP)も控除対象になると知らなかった見落としを自身でも発見したので、それも含めてお伝えしたい。控除を見落とさず、節税メリットを最大限享受してほしい。(ファイナンシャルプランナー〈CFP〉、生活設計塾クルー取締役 深田晶恵)
「控除の見落とし」=「大損」
と覚えておこう!
2月、3月は、さまざまな媒体で確定申告に関連する記事がよく読まれると聞く。申告に手間がかかったとしても、税金が戻ってきたり、少なくなったりするのは、誰でもうれしいことなのだろう。
当連載でもこの時期は「確定申告ネタ」を数本取り上げることにしている。今年のシリーズ1回目は『医療費控除で大損しがちな「3つの落とし穴」と、国税庁申告サイトの“罠”』、2回目は『確定申告で絶対やってはいけない「控除使い残し損」、社会保険料の節税3要点』と題してお届けした。
税金の記事でよく目にする「控除」とは、非課税枠のことだから、「控除」は正しく、見落としなく活用しようという切り口で書いている。控除を漏れなく受けることで、節税メリットを最大限享受できるのだ。
1回目は「医療費控除」、2回目は「社会保険料控除」、そして3回目の今回は「ヒトの控除(人的控除)」がテーマだ。子どもや同居の親を扶養していたら「扶養控除」が使えることはよく知られているが、実は使えるのに見落としている人も多い。
例えば、以下のような3ケースだ。
(1)別居の親の生活費をサポートしている
(2)同居の親を扶養しているのに夫、妻どちらも扶養控除を受けていなかった
(3)要介護状態の親を扶養している際に使える「障害者控除」を使っていない
ケースごとにポイントを解説しよう。