年初から厳しい市場環境だった2022年。証券業界トップとして、23年の相場をどう見ているのか。苦難の歴史を経て拡大してきた海外戦略の行方は?かつて米国トップも務めた野村ホールディングスの奥田健太郎グループCEOに話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 岡田 悟)
日本経済はプラス1.8%成長を予想
欧米のインフレ動向も明確になる
――証券業界にとって2022年は厳しい1年でした。23年の市場の展望を教えてください。
ロシアとウクライナの戦争は続くとみられ、地政学リスクは残るでしょう。一方で世界経済全体に対しては、ボラティリティの高さを前提としながらも、さほど悲観的ではありません。年間のGDP実質成長率について、欧米ではマイナス予想が多い中、当社は日本では1.8%のプラス成長になると予想しています。株価も足元ではしっかりしています。
米国の利上げについては、23年の春か夏ごろにピークアウトすると予想されています。ただ、そのためには景気が一度減速することは避けられず、今はその過程に入りつつあると考えています。それでも、インフレの動向など現時点で見えにくい要素が23年には明確になり、市況が回復してくるのではないかと期待しています。
野村ホールディングス(HD)は、ホールセール(法人営業)部門の収益の過半を海外が占め、もちろん投資銀行ビジネスの中心部である米国の割合が大きい。
米ゴールドマンサックスやモルガン・スタンレーに並ぶほどの規模にはなれなかったが、米国で債券ビジネスを中心に一定のポジションを確保した野村HD。今後はどのようなビジネスに力を入れ、国内営業をどのようにてこ入れするのか。奥田グループCEOが戦略を明かす。