野村VSメガバンク 市場大乱の死闘#4今年7月、福井銀行と野村證券が提携を発表した記者会見 Photo:JIJI

証券会社にとって垂涎モノの銀行預金にリーチしたのは、大手証券会社が進める地銀との提携である。だが高齢化と人口減少が進み、「金の卵」となるかは疑問だ。そして、SBIホールディングスが進める地銀提携の危うさも浮き彫りになった。特集『野村VSメガバンク 市場大乱の死闘』(全7回)の#4では、証券と地銀の提携の最前線に迫る。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)

富裕層はいるが人口減少が進む地方
証券提携の狙いとメリットは!?

 地方の優等生の地元就職先といえば、県庁、電力会社、そして地方銀行が定番だ。地銀の頭取ら幹部は地元の名士であり、行員は住民の絶大な信頼を誇る。

 だが、人口減少と若者の流出による地方経済の衰退は深刻だ。

 営業エリア内に支店を張り巡らせているが、数少ない有力な企業にはすでに十分な融資をしており、行員がいくら靴底をすり減らして顧客を回っても、新たに貸し出す先は見いだせない。個人顧客もまた高齢化しており、住宅や自動車のローンの需要は頭打ちだ。

 一方で、地方にも富裕層はいる。地元名士や事業に成功して財を成した実業家だけでなく、医師や弁護士も高収入であることが多い。

 本来の業務である融資の利息でなかなか稼げない地銀は、これまで運用の高度化やビジネスの多角化を模索してきたが、成功例は少ない。

 富裕層の資産から収益を得ようと、傘下の証券会社が複雑でハイリスクな仕組み債を販売して荒稼ぎした結果トラブルとなり、金融庁が強く改善を求める始末だ。

 一方で証券業界最大手の野村證券は2020年、島根県に本店を置く山陰合同銀行と提携。銀行側の顧客のリスク資産を引き受ける代わりに、地元の支店の社員を出向させ、共同で金融商品を販売している。同じスキームによる提携は、今年7月に発表した福井銀行で4行目。大和証券も高知県の四国銀行と同様の提携を結んだ。

 またインターネット証券を主力とするSBIホールディングス(HD)は「第4のメガバンク」を標榜し、現在9行の地銀に出資して提携する。

 近年は苛烈な営業スタイルが見直されているとはいえ、証券会社が地銀の営業現場にまで出張っていくことにリスクはないのか。また証券会社側にとっても、衰亡著しい地方経済が果たして「金の卵」となりうるのか、次ページで検証する。