総予測2023#51Photo:PIXTA

コロナ禍が落ち着くにつれ、人と物の動きが戻った2022年。損害保険業界は交通事故件数の増加と、毎年のように発生する自然災害の対応に追われた。営業基盤である代理店施策の改革も待ったなし。特集『総予測2023』の本稿では、損保各社が23年に、これらの懸案にどう対処するのかを予測した。(ダイヤモンド編集部 片田江康男)

「週刊ダイヤモンド」2022年12月24日・31日合併号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

“追い風”だったコロナ禍から現実へ
事故&災害増加で上期赤字の損保も

 2022年度上期決算は、損害保険各社に“現実”を思い出させるのに十分な内容だった。

 この2年間、損保業界はほぼ無風だった。18年度と19年度は大規模な自然災害が多発し、保険金支払額が2年連続で1兆円を超えたが、20年度と21年度の自然災害は中規模以下。20年度は台風の上陸もなかった。

 新型コロナウイルスの感染拡大で生保の保険金支払額は増えたが、損保商品ではほぼ補償の対象外で、事業への影響は軽微だった。むしろ外出自粛で交通事故件数が激減したことで保険金支払額は減少し、保険収支が大きく改善した。

 実際、21年度決算は東京海上ホールディングス(HD)、SOMPO HD、MS&ADインシュアランスグループHDの3メガ損保はそろって最高益を更新。新型コロナは追い風にすらなっていたわけだ。

 ところが、である。22年度上期決算では、連結当期純利益がそれぞれ前年同期比で1500億円以上減少した。

 次ページではその要因を振り返り、23年に直面する「懸案」を解説する。