大手証券会社には今、さまざまな逆風が吹いている。それでも野村證券が「20代でも評価が高ければ年収1000万円」ともいわれる高給を続けられるのは、すさまじいまでの実力主義が背景にある。特集『高年収&高収益 勝ち組企業大解剖!儲けの秘密と本当の待遇』(全18回)の#5では、ダイヤモンド編集部が独自に入手した野村證券の社外秘の部門別KPI(重要業績評価指標)を基に、評価と出世のメカニズムや役職別の待遇の詳細を初公開する。(ダイヤモンド編集部 永吉泰貴)
20代で年収1000万円に月1000円の寮
社外秘資料で判明!破格待遇と実力主義
編集部が入手した野村證券の社外秘資料からは、破格の待遇とセットのすさまじいまでの実力主義、そしてがむしゃらに経営改革に挑む姿勢が浮かび上がってきた。
証券業界で圧倒的なシェアを誇る野村證券。当然、社員への待遇も破格だ。最短で入社7年目の29歳に、課長代理という役職へ昇格する。年間の賞与額は業績と個人の営業成績次第で500万円以上にもなり、優秀な社員は20代で年収1000万円を狙えるのだ。
また、野村證券がリードするのは、業績や年収だけではない。福利厚生の充実度でも、業界の先頭を走っている。
全国への転勤の場合、ほとんどの社員は寮に入るのだが、これが破格の安さなのだ。支店や寮によって寮費は変わるが、1カ月で5000円の寮もあれば、中には1000円で住めることもあるという。
そのうえ、30歳までは結婚しない限り寮にいる社員が多いという。20代の課長代理であれば、家賃がほとんどかからない上に年収も跳ね上がり、あっという間に貯金額が増えていく。つまり、年収以外の面も含めて「高待遇」といえるのだ。
このような高待遇の背景には、野村證券の徹底した実力主義がある。
営業部員は、定量評価が50%、定性評価が50%という割合で評価される。そして、この評価の基になるのが、営業部門なら全6領域で、計21項目にも及ぶ重要業績評価指数(KPI)である。このKPIを達成できるか否かが、賞与や出世に影響するというわけだ。
次ページでは、ダイヤモンド編集部が独自に入手した社外秘のKPI一覧を公開する。
野村證券の営業部員は、どのような評価指標で成績が決まり、出世するのか。KPIを基に出世のメカニズムをひもとくと、実力主義の裏側にある、生々しい社員評価の実態が判明。同時に、野村證券が直面する大きな経営課題を、人事制度のてこ入れをしてでも、なんとか乗り越えようとする強い意思が浮かび上がってきた。