つまり、結局は自分がいかに元手を稼げるかという収益力が問われるわけです。「資産三分法で現金・不動産・株式に分散して投資するのがよい」などとよく言われますが、私は、特に若いときには、将来にわたって確実に必要になるのは「自分への投資」だと考えています。

 今回のようにコストプッシュ型のインフレでは、自分の収入が上がる速度がやや遅れるかもしれません。しかし、皆さんにもし、生活に困らないぐらいの資金があるならば、あえてそれを自分への投資に回してみるのもアリではないでしょうか。自分への投資はちょうど今、多くの日本人に求められている「リスキリング」のように、新しい職に就いたり今の職場で求められるスキルの大幅な変化に適応したりするためのスキル習得にもつながるのではないかと思います。

「自分への投資」には
円安情勢が活用できる?

 とはいえ、収入が停滞し、物価が高騰する中で、自分への投資をするにしても、まずはそのための資金がなければ先に進めない、ということはあるでしょう。そのときにもう1つの情勢である「円安」をうまく活用できないか、考えてみたいと思います。

 円安とは、円の相場が外貨の相場に比べて低くなっている状態で、円で外国から何かを仕入れようとしたときには従来よりコスト高になってしまいます。一方で、たとえばドルを保有していれば、以前よりそのドルの価値が高くなっています。ですから、円以外でいかに資産を持つか、もしくは収入を得られるかを考えていけばよいわけです。

 円安も必ずしも悪いだけというわけではありません。従来から円の価値を上げすぎないことは、日本の輸出型産業の収益のもととなっていました。輸出型産業にとってプラスに働いていた円安を、今活用できないか模索する他産業の企業も多くなっています。これを個人にも当てはめて考えてみたらよいのではないかと思います。

 たとえば情報産業に就いている人なら、リモートワークが可能な海外企業のポジションがたくさんあり、中にはパートタイム(副業)で募集しているものもあります。そこで、海外からの仕事を受けて、ドル建てで収入をもらうという方法を採ることが可能です。

 また、「ワーキングホリデー」制度などを利用して、現地へ行ってそこで仕事をすることも可能です。この機会を利用して個人でも外貨を獲得するというのも、よいのではないかと思うのです。