米欧企業がデジタルノマドビザ制度を
活用したい理由
実は米国や欧州の企業では、こうしたデジタルノマドのビザ制度を活用したいという強いモチベーションがあります。というのも、コロナ禍やインフレなどの課題が起こる前から、特に米国では人材獲得が厳しい状況にありました。
今現在は、米国のIT各社も採用を抑制していたり、人員を整理したりしています。しかし少し前までは、シリコンバレーのある会社が海外の優秀なエンジニアを採用したいと就労ビザを申請しても、夏から秋ごろにかけて、あっという間に申請数の上限に達してしまう状況でした。
するとグーグル、マイクロソフト、アマゾンのような企業であっても、採用を決め、早く米国に来て働いてほしい人を呼ぶことができない状況になります。こうなると、本来はリモートワークをあまり推奨したくない企業でも、今いるところから働いてもらった方がいい。米国と比べれば日本の方がハイスキル人材に対する就労ビザが出しやすかった時期には、最終的には米国で就職する人を日本のオフィスで働かせるといったことも起きていました。
こうした背景から、「働く場所はどこでもいい」と制度を設けた企業では、積極的にデジタルノマドビザなどの制度を活用して、リモートワーカーとして働く人を集めようという動きが強まっています。これらは、全世界的な感染症の大流行があって以降、働き方が大きく変わり、「ワーク・フロム・エニーウェア(どこからでも勤務可能)」という制度を採用する会社が出てきている中での兆候です。デジタルノマド用のビザ制度を取り入れ始めた国が増えていることから、この動向を日本の個人もうまく活用して、もっと恩恵を受けるような行動をしてみてもよいのではないでしょうか。