ジョー・バイデン大統領の1期目の半分がまもなく終わろうとしている。政権内の多くの関係者は、世界での米国の地位について、それなりに満足しているようだ。だが事実として、ロシアを脇に追いやることで、米国は中国に安心して注力できるという期待は実を結んでいない。対イランでも、新政権が核合意への復帰に前向きであれば両国の関係が安定するだろうという期待も同様に外れた。さらに、バイデン氏の目玉政策――アフガニスタンからの撤退強行――はあまりにお粗末で、政権チームの評判に消すことのできない傷跡を残すことになった。一方で、良いニュースもある。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が始めたウクライナ戦争のおかげで、北大西洋条約機構(NATO)加盟国の結束はより強固になり、欧州の安全保障にとって、近年のどの時期よりもNATOの結束が重要であると見なされるようになった。スウェーデンとフィンランドがNATO加盟を申請し、ドイツがステルス戦闘機「F35」の購入を表明するなど、大西洋の安全保障コミュニティーは活力を取り戻したように見える。
【オピニオン】米国の強さは大統領のおかげではない
同盟国がより積極的になっているのは米国の衰退を恐れてのこと
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