開示請求が認められた例

 ツイッター上では先月、「すいろ(@Suiropoke)」さんというユーザーのツイートが注目を集めていた。以下、引用である。

<ご報告です。Twitterで私を含む数名の方への誹謗中傷の投稿を行っていた人物に対する発信者情報開示請求を行い、その結果和解金の支払いと和解が成立しました。
本件の経緯を個人が特定されない範囲で公表する事を和解条件の1つとして相手方と合意しているため、以下に経緯を記載していきます。>

 続くツイートを読むと、すいろさんには「そもそもゲームや日常生活に関するツイートを投稿してる程度のアカウントが被害を受けたと主張しても通るのか?」といった疑問を持っていたようだ。

 結果として、いわゆる「ゲーム垢」に対する誹謗中傷でも訴えることは可能であり、すいろさんを誹謗中傷したユーザーは和解金を支払ったという。しかしすいろさんは、「和解金とこちらの費用の差は若干こちらの『赤字』です。マジです」とも書いている。

 このケースはプロバイダ責任制限法改正前の話だが、すいろさんは「マジで不毛なので止めとけとしか言えない」「自分が結局言いたい事は、『開示請求鬼つええ!ガンガン訴えを起こしていこうぜ!』とかではなくて『皆さん仲良くしましょうね』というところです」とまとめている。

 他の事例もある。

 これはゲームではないが、VTuberに対する殺害予告が、その「アバターではなく中の人(アバターの演者)に向けたものである」という主張のもとで行われた開示請求が認められたケースがあるようだ。

 これは弁護士ドットコムの記事『VTuberへの殺害予告は「中の人に向けられたもの」、現実とネットの境界ゆらぐ時代の法的保護』で紹介されている。

 VTuberは、アバターは2次元だが中の人は(当然ながら)3次元的存在であり、ゲームは2次元だがプレイする人たちは3次元である。ともに2次元と3次元が相まって形成されているコンテンツ、およびコミュニティーであって、そのあり方もまた見直されつつあるということだ。