先進国の7割近くが景気後退入り
高インフレと金融引締め
今年(2023年)の世界経済を展望すると、先進国を中心に多くの国が景気後退入りすることに議論の余地は殆どなく、今後の焦点は、景気後退がマイルドに止まるのか、深刻化するのかという点だ。
オックスフォード・エコノミクスは、今年において先進国の7割近くが景気後退局面(2四半期連続のマイナス成長)入りすると予測している。これだけ多くの国で景気後退が起こるのは、コロナ・ショックと金融危機の時を除くと例がない(図表1)。
多く国で同時に景気後退が発生するのは、世界的な規模でインフレが高進しているためだ。世界中でインフレによって家計の実質所得が減って消費が落ちる一方で、金融政策も日本を例外として急速に引締められている。
高インフレは資源価格高などの供給要因が大きいが、それでも中央銀行は引締めで需要を冷やそうと躍起になっている。理由はともあれ、高インフレが続くと、インフレ期待が高止まりし、賃金上昇とインフレの上昇スパイラルが起きることを懸念している。