2023年の世界・日本経済
景気回復はかろうじて続く
新型コロナウイルスの感染拡大から3年目となった2022年の世界と日本の経済を振り返ってみよう。各国・地域の経済は、感染状況に引き続き左右されるかたちとなったが、さらに、ウクライナ危機に伴う穀物、資源価格の急騰が、新たな景気下押し圧力として加わった。
日本経済は、経済活動の押し下げ要因が断続的に現れる中、景気後退局面入りはなんとか回避され、20年5月をボトムとした景気回復が途切れずに続いているとみられる。22年1~3月には、新規感染者数の増加を受け、政府がまん延防止等重点措置を最大36都道府県に適用するなど、感染拡大防止のための制限措置を執り、飲食、旅行、娯楽などのサービス消費が押し下げられた。
その後、重点措置の解除でサービス消費は回復したものの、感染拡大に伴う中国・上海でのロックダウンなどから半導体などの部品の供給制約が強まり、春以降は、国内の自動車生産が下押しされ、国内の乗用車販売や自動車輸出、自動車関連投資などの関連需要が押し下げられた。ただ、上海のロックダウンは6月に解除となり、部品の供給制約は和らぎ、自動車生産が回復し、関連需要も持ち直している。
一方、2月のロシアのウクライナ軍事侵攻を受け、穀物、資源価格が急騰し、国内企業の収益押し下げ圧力となっているほか、消費者物価(CPI)の上昇を通じて家計の実質的な購買力を削ぐかたちとなっている。
原油価格(先物)をみると、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の期近物は、22年3月に一時、1バレル=130ドル台まで上昇し、2008年7月以来の高値を付けた。また、国内のCPI総合の前年比は、22年10月にプラス3.7%まで上昇し、1991年1月以来の高水準を記録している。