わが子の「技能特性」を知っていますか?

 4技能(読む、聴く、話す、書く)のそれぞれがどう発達していくかは、子どもによってまちまちだということも理解しておいてください。

 たとえば、「耳のよさ」はフォニックスの習得スピードを左右しますから、ピアノ教室で音楽的な感性を磨いてきた子などは、発音の上達が早い傾向が見られます。

 それ以外にも、「文字」でじっくり学ぶのが得意な子、ピクチャーディクショナリーを「映像記憶」で吸収できる子、「好きなこと」が突破口になる子などなど、じつにさまざまです。

 子どもによって能力特性がある以上、どうしても苦手なジャンルもあります。4技能が同じスピードで伸びていくとは限りません。お子さんの特性を踏まえながら、やさしく見守る態度が不可欠です。

 ですから、ロードマップどおりに進捗していないからと焦る必要はありません。

 年齢はあくまでも「目安」として考えてください

 逆に言えば、子どもが得意なことについては、年齢目安を無視して、どんどん先に進ませていいということです。

 一元管理型の教室指導では、このような前倒しは難しいかもしれません。「教えていない文法が含まれている教材」は与えられませんし、みんなが理解するまでは次の単元に進まないのが大原則。生徒の数が多かったり、予算が限られたりしていれば、先生方がいくら工夫しても限界があります。

 進捗スピードを自由に調整できる点は、家庭での英語学習の大きな強みなのです。

(本記事は『ほんとうに頭がよくなる 世界最高の子ども英語』の本文を抜粋して、再編集を加えたものです)

【著者】斉藤 淳(さいとう・じゅん)
J PREP斉藤塾代表/元イェール大学助教授/元衆議院議員
1969年山形県生まれ。イェール大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。研究者としての専門分野は比較政治経済学。ウェズリアン大学客員助教授、フランクリン・マーシャル大学助教授、イェール大学助教授、高麗大学客員教授を歴任。
2012年に帰国し、中高生向け英語塾を起業。「第二言語習得理論(SLA)」の知見を最大限に活かした効率的カリキュラムが口コミで広がり、わずか数年で生徒数はのべ3000人を突破。海外名門大合格者も多数出ているほか、幼稚園や学童保育も運営し、入塾希望者が後を絶たない。
主な著書に、『ほんとうに頭がよくなる 世界最高の子ども英語』(ダイヤモンド社)のほか、10万部超のベストセラーとなった『世界の非ネイティブエリートがやっている英語勉強法』(KADOKAWA)、『10歳から身につく 問い、考え、表現する力』(NHK出版新書)、また、研究者としては、第54回日経・経済図書文化賞ほかを受賞した『自民党長期政権の政治経済学』(勁草書房)がある。