ついに導入された
「2%」の「物価安定の目標」
先月21~22日に開かれた金融政策決定会合は、国内外の市場から注目された。同会合のポイントは、①「2%」の「物価安定の目標」(英語ではtarget)を導入、②「期限を定めない資産買入方式」(以下、オープン・エンド型買入)を2014年に導入、③政府・日銀の「共同声明」という形で物価安定の目標を「できるだけ早期に実現する」ための両者の役割を明示、の3点にある。
なかでも「2%の物価安定の目標」は、安倍首相が再三導入を求めていたものであり、今回の決定会合の最大の目玉となった。
ただし「2%」に目標を設定することに対して、2名の審議委員(木内氏、佐藤氏)が反対した。理由は「2%は持続可能な物価の安定と整合的な物価上昇率を大きく上回る」、「成長力強化の前の物価目標の明示は金融政策の信認を毀損させる」の2点。さほどに「2%」というのは野心的だ。
今後の焦点は同目標の実現性に移る。日本の金融政策については、「どれだけ緩和するか」と同時に、「どのように緩和が効く経済をつくるか」も問われる。
実際、日本では金融緩和が実体経済を刺激する上でいくつかの障壁がある。以下では、米国と比較しながら「潜在成長率(自然利子率)の低さ」と「労働市場の流動性欠如」の2点を見ておこう。この障壁を取り除く上で、政府が果たす役割は大きい。
第一の障壁:
低迷する日本の潜在成長率(自然利子率)
第一に、低迷する潜在成長率が挙げられる。潜在成長率は理論的な厳密性を無視すれば、当該国の「自然利子率」に相当する。