伊藤穰一氏が就活生に直言、「日本の強みを生かしweb3の世界潮流に乗る!」2022年11月、デジタルガレージ主催「THE NEW CONTEXT CONFERENCE」にホストとして登壇した伊藤穰一氏。写真提供/デジタルガレージ

*本稿は、現在発売中の紙媒体(雑誌)「息子・娘を入れたい会社2023」の「識者に聞く!『不確実性』時代を生き抜く知恵」を転載したものです。「Web1.0」「Web2.0」との差別化などの観点から「web3」と表記しています。

インターネット発の「web3」と呼ばれる潮流が、ビジネスや社会の構造を世界的規模で変革しつつある。働く価値観・スタイル、必要なスキルはどう変わるのか。web3が開く「共創社会」の到来を見通して枠組みを超えた知の創成を実践する伊藤穰一氏に聞いた。後編では、伊藤氏による実践の経験などを取り上げる。

>>「ベンチャーキャピタリスト・伊藤穰一氏に聞く(前編)」から続けて読む。

若者がリーダーシップを
発揮できる環境をつくる

 日本の企業も、今後、DAO(ダオ)(※1)を活用してプロジェクトベースの活動を積極的に取り入れることで、組織が活性化していくのではないでしょうか。具体的に言えば、欧米企業のように、就業時間の一部を担当業務以外のプロジェクトに使える制度を設けます。この時間を組織の壁を超えた実験的プロジェクトや社会貢献プロジェクトなどに充てるのです。

「メンバーは対等な関係」「貢献領域は自発的に決める」という性質上、DAOでは年齢も経歴も問われません。

 日本の企業組織では、若い人がリーダーシップと責任を持ってプロジェクトを運営するチャンスはあまり多くないと思います。

 しかし、DAOならば、新入社員でもリーダーとしてプロジェクトを立ち上げ、若いうちからマネジメントを学ぶことができます。

 Z世代の若者は、オンラインゲームでギルド(※2)を経験している人も多いでしょう。その延長線上にあるのがDAOであり、そうした意味ではすでに第一歩を踏み出している世代です。

 例えば、オンラインゲームをするメンバーと、DAOで環境美化などの社会貢献プロジェクトを行ってみてはどうでしょうか。そこで得た組織運営のスキルは、キャリア形成の上で必ず役立ちます。

※1 DAO:Decentralized Auto-nomous Organization(分散型自律組織)の略。代表者は置かず、全メンバーが対等な立場でプロジェクト運営に参加する組織形態
※2 ギルド:複数のプレーヤーが協力してゲームを進めるためにつくるチーム組織