「除名」の懲罰、「辞職勧告」が決議されたからといって、議員を辞職する必要はもちろんない。それでは、ガーシー議員が表明している通り、3月上旬に帰国したら刑事事件としてはどうなるのだろうか。
脅迫や名誉毀損では
前例がない逮捕許諾
現時点でガーシー議員は警視庁から見れば「容疑者」であるといえる。そして、裁判所も家宅捜索令状に記載された「被疑者」「罪名」「被疑事実の要旨」を認め、ゴーサインを出した。条件がそろえば「上記の被疑事実により、被疑者を逮捕することを許可する」(逮捕状)に署名する可能性は十分にある。
条件とは何か。日本では国会議員に不逮捕特権を認めており、現行犯以外で会期中(参院の緊急集会を含む)に逮捕する場合は、所属する議院の許諾が必要となる。ガーシー議員が帰国・登院を表明している3月上旬は通常国会の真っただ中なので、警視庁は当然に許諾を得なければならない。
手続きとしては、まず内閣に逮捕の許諾要求書を提出する。閣議決定を経て参院に許諾を求め、議運委が「議員ガーシー君の逮捕について許諾を求めるの件」として捜査状況について聴取・質疑応答をした上で採決。その後、本会議での採決となる。
逮捕が許諾されるかどうか、前述のデスクは「国会議員が脅迫や名誉毀損、威力業務妨害などの容疑で逮捕許諾が請求された例はなく、スムーズに行くだろうか。はっきりとは分からない」と明言を避けた。