というのは、過去に汚職事件や選挙違反、政治資金規正法違反などいわゆる政治犯や、例外として国会議員の職務とは直接関係のないものの「カネ」にまつわる詐欺、背任、証券取引法違反などはあっても、ガーシー議員にかけられている容疑が議論されたケースはないからだ。

 特異な例としては、衆院議員が会期中、酒に酔って見ず知らずの女性にいきなり抱きつき、服の中に手を入れて体を触ったとして、強制わいせつ容疑で逮捕された事件があった。これは現行犯だったため、複雑な手続きは必要なかった(議員は女性と示談が成立、辞職)。

過去に逮捕許諾された
議員のさまざまな対応

 これまで逮捕が許諾されたケースでも、「最期の言葉に嘘はない」と潔白を主張し自殺した新井将敬元衆院議員。東京地検特捜部の出頭要請を拒否し「あえて逮捕許諾請求を選ぶ」と挑発した中村喜四郎元建設相(現衆院議員)。

 テレビクルーを車に同乗させ「許諾請求が一番良い」と検察批判を展開した山口敏夫元労相。直前に入院した友部達夫元参院議員。検察側に全面対決を表明した鈴木宗男元衆院議員(現参院議員)――など、対応はさまざまだった。

 懲罰や逮捕許諾など、いずれにしても「前代未聞」となりそうなガーシー議員の処遇。筆者はガーシー議員のアンチでも支持者でもなく、逮捕許諾が請求されるかどうかも可能性でしかないが、今後の展開が注目される。