隠された秘密の通路がある「ウォルドルフ・アストリア」
ウォルドルフ・アストリア・ホテル(以下ウォルドルフ・アストリア)は、1893年創業のニューヨークで最も古い5つ星ホテルのひとつです。これまでアメリカ国内外の多くの要人を宿泊客に迎えているため、「ニューヨークの迎賓館」と呼ばれています。
第31代ハーバート・フーヴァー大統領から第44代バラク・オバマ大統領まで歴代米国大統領を迎え、モナコのレーニエ3世とグレース・ケリーの婚約パーティー、ジョン・F・ケネディ大統領の誕生パーティー、イギリスのエリザベス女王によるスピーチなど、伝説的なイベントが主催されました。
「王冠を賭けた恋」の公爵夫妻が暮らしたホテル
上階は住居専用で、「王冠を賭けた恋」をし、愛する女性と一緒になるために王位を辞したウィンザー公爵が公爵夫人と住んでいたのは「ロイヤル・スイート」。
部屋の随所にあしらった「ウェッジウッド・ブルー」と呼ばれる淡いブルーが美しく、最も人気の高い部屋でした。
ウォルドルフ・アストリアはほかにもマッカーサー元帥、作曲家のコール・ポーターなど当時のそうそうたるセレブが住居にしていました。
ホテルの下にある秘密の通路とは
ウォルドルフ・アストリアの地下には、1930年代に作られたグランド・セントラル駅に直接つながっている秘密の地下通路(鉄道路線)があります。
第32代フランクリン・ルーズベルト大統領は、ポリオ(急性灰白髄炎)に感染し車椅子で執務を行っていたので、ニューヨークとワシントン間を少しでも負担なく移動できるように(また人目を引かないように)、ウォルドルフ・アストリアとグランド・セントラル駅間を走る特注のディーゼル機関車を走らせました。列車の中も特別で、なんと最後尾車両には大統領のリムジンを収容可能でした。
しかし1945年にルーズベルト大統領が突然亡くなり、機関車はホテルの地下に放棄されたまま動きを止めました。
秘密の地下通路の痕跡は、パークアベニューとレキシントンアベニュー間の49丁目にある、「101-121」の数字を示したエレベーターで確認できます。