なんとなく、権力=悪という感覚で、マスコミは権力批判、政治家批判こそが任務と言わんばかりの報道を続けています。肝心な政策の中身よりも、政治家の言動ばかりが注目されがちです。揚げ足をとるような話題が大きく報道され、もはや政治のニュースなのか、芸能人扱いのゴシップなのかわかりません。政治の本筋から国民を遠ざけようとしているのでは。そうとしか思えない姿勢です。

 いかにもそれらしく合の手を入れる学者やコメンテーターを見聞きすると、「さっさと立候補してその賢い頭をみんなのために使え」と言いたくなります。評論家がもっともらしく語っても、その話を私たちが100回聞いても、暮らしは良くなりません。世論に語りかける暇があるなら、世の中の人のためにその能力を使うことだってできるのです。

まず自らが声を上げる
その言葉が伝わり、世の中を変える

 ただ、そんなマスコミの政治批判の一環で、しばしば一般市民の発言、SNSの話題が取り上げられることがあります。

 2016年には「保育園落ちた日本死ね」という匿名のブログが大きな話題になりました。この投稿がきっかけとなり、待機児童問題が顕在化し、国会で審議されるようになり、全国で対策がとられていきました。

 たった1人の一般市民の投稿が、社会を変えた。実際の影響が全国に及び、現実の社会で政治を動かしていったのです。

 私たち一人ひとりに、政治を動かす力があります。あなたも冷たい社会を変える力を持っています。

 いわゆる「市民活動」や「政治参加」を大げさに考える必要はありません。簡単なことです。ツイッター、ブログ、何でもいい。まず自らが声を上げる。その言葉が伝わり、世の中を変える。より良い社会へと変革を起こせます。それが、今からでもあなたができる社会の変え方。あなたはそれをすでに手にしています。スマートフォンからつぶやくだけでも、政治への大きな1歩となっていくのです。

 コロナ禍の最中、2022年の春に突然、「国が年金生活者に5000円を臨時給付」というニュースが流れたことがありました。言うまでもなく、夏の参院選を前にした高齢者層へのバラマキです。

 こんなしょぼい一時金が選挙対策に有効と思われている。情けない限りです。私もツイッターで批判し、他にも多くの人々から反対の声が挙がりました。

 SNSが広がる前の時代なら、こんな恥ずかしい施策でもそのまま強行されていたかもしれません。でも、もう今は全国各地の国民のリアルな反応がすぐに可視化される時代です。筋の悪い案に対する多くの批判が渦巻き、世論の強い反発に、政府・与党はわずか10日ほどで白紙撤回に追い込まれました。