今週開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)では、追加の利上げ幅を判断するにあたり、これまでの引き締めによる影響がどこまで実体経済にブレーキをかけているのかが議論の焦点となりそうだ。具体的には、利上げの累積効果がどこまで成長とインフレを冷やすかを推定する。これはノーベル賞受賞の経済学者、ミルトン・フリードマン氏が金融政策の「長く、変わりやすい」時間差と呼ぶものだ。FRBの元シニアエコノミスト、ウィリアム・イングリッシュ氏は「『利上げによる効果が予想通りに現れているか。想定より早いか、それとも想定より大きいのか』といった議論が徹底して交わされるだろう」と話す。その時間差が大きいとすれば、昨年実施した利上げの影響がちょうど実体経済に波及し始めたところで、向こう1年に経済活動を大きく下押しするだろう。そうであれば、FRBはそれほど高く金利を引き上げたり、高水準で長期間据え置いたりする必要はないということになる。