「風呂なし物件」「食費月1万円節約術」の記事に批判が上がる切実な事情世界経済の悪化、食材や光熱費の高騰、迫り来る増税の足音……。庶民の暮らしが少しずつ苦しくなるかのような状況の中、その不安がもっとも見て取れるのはSNSだ(写真はイメージです) Photo:PIXTA

世界経済の悪化、食材や光熱費の高騰、迫り来る増税の足音……。庶民の暮らしが少しずつ苦しくなるかのような状況の中、その不安がもっとも見て取れるのはSNSかもしれない。少し前なら人気コンテンツだった、「節約」や「ミニマリスト」といったキーワードが反発を招く場合があるようだ。(フリーライター 鎌田和歌)

反発を呼んだ「風呂なし物件」
ミニマリスト記事

 昨年末、日経新聞に掲載された記事がネット上でちょっとした話題になった。「風呂なし物件、若者捉える シンプル築く礎に」(2022年12月17日付)というタイトルで、都心でも家賃4万~6万円程度の風呂なし物件に入居を希望する20~30代男女が増えているという記事だった。

 その理由については、家賃の負担減、持ち物を増やさないミニマリスト志向に加え、コロナ禍でリアルの交流が減ったことで、長屋のようなスタイルの住宅や銭湯が交流の場になっているのではないか、と分析されていた。

 2000文字ほどの短い記事で、なるほど、そのような実態があるのか、と思わされる。筆者はミニマリストの若者のYouTubeを興味深く見ていたことがある。風呂・トイレ共有物件に暮らし、服は夏物と冬物を合わせて数着しか持たず、基本的には自炊。週に3~4回程度働き、散歩とゲーム、ときどき一人旅を楽しむその若者の動画は悠々自適で楽しそうに見えた。動画もそれなりの再生数だった。

 そんな動画が記憶にあったものだから、この記事がネットの一部で反発を受けていると知って驚いた。驚いたものの、昨今の状況では仕方ないかもしれない……と思うところもあった。