それで今回の記事ですが、ここで改めて恵方巻きの良さを認めてみたいという話をさせていただきます。恵方巻き業界が何を反省して、どう変化したのかという話です。

外食産業、小売産業は
人工的なブームが大好き

 恵方巻きに限らず外食産業、小売産業は人工的なブームを作るのが大好きです。

 ひとつの成功体験がバレンタインデーで、2月14日にチョコを贈るのは日本だけの習慣です。仕掛け人は戦前にモロゾフが始めたという説や戦後、メリーチョコレートが始めた説など諸説ありますが、この習慣は日本に根付き、結果としてチョコレート業界はバレンタインのシーズンだけで年間の4分の1を売り上げるようになりました。

 クリスマスに正月、お中元・お歳暮、母の日・父の日・敬老の日と、イベントは商機を生み出します。近年はハロウィーンが定着したことで、コスプレの巨大市場が誕生しました。

 そんな業界事情と比較すると、恵方巻きの場合は大正時代に大阪の商家、ないしは色街で生まれた丸かぶりずしの流行を、1970年代に関西ののり問屋などがイベントとして広めようとしたものです。

 本格的に全国に広まったのは、セブン―イレブンが恵方巻きの名称で全国展開してからだといわれます。もともとごくせまい地域の歴史も浅い風習だったものが、小売各社が力を入れたことで、全国的なイベントとして定着するようになりました。