日本企業が真に目指すべき「実践的なESG」とは日本企業の視座でESGを理解し、戦略的なESGの活用方法を能動的に模索することが重要だ(写真はイメージです) Photo:PIXTA

日本企業の視座で
ESGを理解する重要性

 これからフロンティア・マネジメントでは、ESG(環境・社会・ガバナンス)に専門的な知見を持つ現役コンサルタントらによる連載を通じて、企業のビジネスパーソンが心得るべき「実践的なESG」に関する論考を提供する。

 ただし、本連載は、通り一遍のESGの知識を習得していただくことを意図していない。欧米のESGをコピーして輸入したような話を紹介することも想定していない。

 むしろ重要なのは、日本企業の視座でESGを理解することである。そして、日本企業にとって戦略的なESGの活用方法を能動的に模索することこそが、真に重要であると考える。
 
 連載第1回目は、日本で頻繁に使われているSDGs(持続可能な開発目標)とESGというキーワードが、主要国でどのように受容されているかという状況の共有から始めてみたい。(著書『ESG格差 沈む日本とグローバル荘園の繁栄』(日本経済新聞出版)を参照)

 日本では、政官財上げての後押しで、「SDGs」という言葉が広まった。しかし、SDGsという言葉は、主要先進国ではほとんど使われていない。

 SDGsの徽章をジャケットに着用するビジネスパーソンも増えたが、あれは日本だけで着用されている徽章だと思われる。筆者の欧米中のクライアントは皆一様に「自国では見たことがない」と言う。

 筆者は自らGoogleを使い、SDGsやそれに類似する言葉がどの程度の頻度で検索されているかについて調べてみた。主要先進国ではSDGsという言葉は、Google検索の対象にすらなっていない。