金融庁をはじめとする関係者の努力によって、いわゆる「新NISA」は「満点に近い制度」と言っていい出来になった。ただ、その普及を後押しするためには国民をサポートするアドバイザーがほしいところだ。どのようなアドバイザーであることが望ましいのか、考えてみたい。(経済評論家、楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)
具体像が絞り込めない
「中立的アドバイザー」
岸田政権は、昨年11月に「資産所得倍増プラン」のとりまとめを行った。これを受けて発表された、2024年から導入が予定される新しいNISA(少額投資非課税制度。以下「新NISA」)は、制度の恒久化、非課税運用期間の無期限化、さらに総額で一人1800万円に及ぶ非課税運用枠の大きさなど、投資家および運用・金融業界の希望を大きく取り入れた、現時点では「満点に近い制度」となった。
「満点に近い」は褒めすぎかもしれないが、褒めるべき時には褒めておこう。制度を設計して取りまとめた金融庁はよくやったし、これを受け入れた税制に関わる諸氏にも感謝しよう。
さて、制度設計・スケール共に良いものができた新NISAだが、制度の普及には後押しがいる。金融業界のビジネス的努力は当然として、「売り手側」に期待するだけでは不十分だ。「買い手」である投資家、つまり個々の国民をサポートするアドバイザーが存在することが望ましい。
必ずしも新NISAのためだけではないのだろうが、先の資産所得倍増プランには「中立的なアドバイザーにより顧客本位で良質な(金融や投資に関する)アドバイスが広く提供されるよう取り組んでいく」と盛り込まれた。しかし、その後、「中立的アドバイザー」について、具体的になり手は誰で、どのような活動を行うものなのかについて、具体像が見えてこない。
例えば、金融庁が中立的なアドバイザーを認定して管理するような仕組みが考えられるが、その条件はどうあるべきか。