みずほ銀行は2021年5月に実施した大規模な営業体制の見直しに伴う組織再編で、金融法人営業を抜本的に改革した。本稿では、組織再編の概要を示した上で、新たに地域金融機関を担当している「社会・産業基盤第四部」の取り組み内容を紹介する。本稿が、地域金融機関との新たなビジネス創出に向けた歩みのきっかけとなれば幸いである。
地域金融機関担当部署を東京へ集約
みずほ銀行は2021年5月、従来の大企業・金融・公共法人部門を「五つのインダストリーグループ」と「二つのリージョナルグループ」に再編した(図表1)。組織再編に伴い、地域金融機関を担当するチームは一つに集約され、「社会・産業基盤第四部」として新たにスタートした。その後、22年8月には大阪のチームも東京の本店へ集約し、東京への拠点集約が完了した。部長の私以下、約40名の陣容で活動している。
従来、地域金融機関を担当するチームは、全国の各地域営業部などにあった。しかし、この体制では、それぞれのチームで取り組んでいる事例やノウハウがその地域内にとどまってしまうため、こうした知見を集積させることが課題となっていた。組織再編後は、当部が47都道府県すべての地域金融機関を担当しているため、地域金融機関が抱える課題や金融セクター共通の課題が一つの部署に集積できている。そして集積された知見を生かし、全国の地域金融機関に対して一斉に解決策を提案することが可能になった。
一方で、拠点の集約により、地域金融機関の課題をクイックに把握できなくなる懸念があったが、47都道府県にある当行の地域営業拠点との連携を強化することで補っている。地域拠点長は、地元の会合などを通じて地域金融機関の経営層と接点を持つ機会が多く、そうしたリレーションも活用している。コロナ禍では行動制限があったため、ウェブ会議なども活用していたが、現在は月の3分の1から半分程度は、全国各地の担当エリアに積極的に訪れ、地域金融機関と対話できるようになっている。