浅草はやっぱり不動の地位
自販機にも興味深々

 1月上旬、正月ムードの浅草では浅草寺の境内に多くの屋台が立ち並んでいた。定番の「お好み焼き」や「焼きそば」に加え、「揚げ餅」「鶏の唐揚げ」など、気軽に食べられるフィンガーフードも訪日観光客の関心をひいている。

「日本はマナー大国」に疑いの目も…“3年ぶりの訪日”で外国人の日本評に変化訪日観光客も興味を示す屋台のフィンガーフード(著者撮影)

 ここでは、くし刺しにした「アユの塩焼き」を黙々と食べるドイツから来たという男性と出会った。立て続けに2本も平らげており、さらに3本目の購入におよぼうとするので、なぜ「アユの塩焼き」にこんな執着を見せるのかと、不思議に思って尋ねてみた。返ってきたのはこんな答えだった。

「これなら“混ぜ物”がないからね。僕たちは食品が自然由来かどうかにこだわるんだ。正直なところ、日本の量販店で売られていた国産のお菓子の種類に驚いたよ。それっていろんな化学調味料を加えて味や触感の違いを出してるってことだよね。日本の食品はおいしくて安いけれど、日本は添加物への規制は欧州よりも緩いと聞いたことがある」

 ちなみに、ドイツでは「買ってきたばかりなのに腐っている食品」もたまにあるそうだ。「プレッツェルも5時間後にはカチカチ」になってしまうというが、「そういう方がむしろ安心だ」と彼は話していた。

 一方で、前出のパトリックさんは、JR駅の自販機を熱心に観察して回っていた。自販機によって異なる飲み物のバリエーションや商品の見せ方への工夫などに強い関心を示していた。自販機文化がここまで普及する国は珍しいが、それが常に進化しているという点でも驚きを隠さなかった。

 飲料の自販機に注目するパトリックさんは、意外なメニューがあることに気づいた。「カレースープ」「しじみのみそ汁」「一風堂ラーメンスープ」などがそれで、「こんなものまで自販機で買えるのか」と驚いていた。もっとも「これに気づいたのは日本人の妻が訳してくれたから」だとも。「Miso Soupとか英訳をつけたらもっと多くの外国人が注目してくれるよ」と言い、電車を乗り換えるごとに駅の自販機で飲み比べを楽しんでいた。