「プロダクトアイデア」と
「コミュニケーションアイデア」

 プロダクトを開発して販売する際には、「プロダクトアイデア」と「コミュニケーションアイデア」の2つが必要になります。

「プロダクトアイデア」とは、商品やサービスそのものに関わるアイデアのことです。そもそも、どんな便益と独自性を持つプロダクトかです。

 一方、「コミュニケーションアイデア」とは、プロダクトの便益と独自性をお客さまに伝え、購買行動を起こしてもらうための訴求のアイデアを意味します。テレビCMやPR、イベント、キャンペーンなどをどうするか、ということです。つまり、HOWの一部です。

 この2つのうち、継続的に売上を拡大させていくために重要な要素は、プロダクトアイデアのほうです。なぜなら、いくらテレビCMなどにお金をかけて便益や独自性への期待を伝えても、購入した商品が、それに見合わず満足してもらえなければ次の購入はないからです。

 にもかかわらず、社内で売上拡大のためのブレストや会議をしていると、どうしても「どう売る?(HOW)」といったコミュニケーションアイデアに話が進みがちです。どんなにコミュニケーションアイデアが優れていても、プロダクトアイデアが弱ければ、一時的に売れても中長期的な売上拡大にはつながりません。

 まずはプロダクトアイデアを強力にする。つまり、「そのプロダクトのお客さまは誰なのか(WHO)」「どんな便益や独自性を提案すべきか(WHAT)」を検討するのです。

企業が陥りがちな
「自らの価値に気づいていないケース」

 ビジネスの現場では、プロダクトの技術開発者やエンジニアは開発時に具体的なお客さま像をイメージしていることも少なくありません。もしくは、創業者自身が自分のほしいと思うものを開発していることもあります。

 ただ、一般的に技術畑や開発畑の人は、「マーケティング」に対して自分とはまったく違う世界のものという認識を持っていることが多いようです。「マーケティングとは売る施策を考えること」「専門家や広告代理店に任せること」というイメージも強いため、マーケティングに対して距離をとる傾向にあり、開発側が持っているお客さま像が社内で共有されていないケースも多々見られます。