佐川・ヤマトが値上げ、トラック運賃も上昇基調でもコスト転嫁率「低すぎ」の現実値上げ交渉の成果が見え始めている(写真提供:カーゴニュース)

トラック運賃が緩やかながらも上昇基調に転じているようだ。トラックドライバーの労働時間が短くなり、ドライバー不足がさらに深刻化する「2024問題」への危機感をはじめ、燃料費・人件費の高騰を受けてトラック運送事業者の価格転嫁、値上げ交渉の成果が徐々にだが見え始めている。1月末、業界大手の佐川急便が4月からの宅配便運賃の値上げを発表したのに続き、2月6日にはヤマト運輸が同じく4月から宅急便などの値上げを行うことを明らかにし、大手が追随する可能性がある。値上げが遅れている中小トラック事業者の底上げも課題となる。(カーゴニュース編集部)

*本記事はカーゴニュースからの転載です。

2022年12月は中長期・スポットとも
コロナ禍以降で最高水準となった

 日銀が発表している、企業向けサービス価格指数によると、「道路貨物運送」の11月(速報)の指数は「111.8」となった。コロナ禍の20年6月の「110.2」を“底”に、緩やかに上昇基調が続く。同指数は「中長期契約運賃の指標」という位置づけだが、22年は7月以降、「111」台が継続し、11月はコロナ禍以降で最高の水準に達した。

「道路貨物運送」のサービス価格指数「道路貨物運送」のサービス価格指数
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 一方、スポット運賃の指標となる、全日本トラック協会の求荷求車情報ネットワーク「WebKIT」の成約運賃指数をみると、12月は「130」となった。22年度は8月以降、「120」台が継続し、前年同月の指数を上回って推移。年末年始に向けた物流需要が増大する12月は前月比6ポイントの伸びを見せ、12月としては19年度以来の「130」台となった。

「WebKIT」の成約運賃指数「WebKIT」の成約運賃指数
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 値上げが浸透しつつある様子は、大阪府トラック協会の景況感調査の結果からもうかがえる。10~12月の「運賃・料金の水準」は、「上昇」が28.3%と3割弱となった。運賃交渉の努力が実ったのか「やや上昇」が大きく増えている。一方で、「低下」は3.3%と「上昇」を大きく下回っており、全体としての運賃水準の上昇基調が感じられる。