写真はイメージです Photo:PIXTA
「管理職」と聞くと、「難しそう」「自分にできるかな?」など、いいイメージを持っていない人もいるかもしれません。しかし、もしあなたにそのチャンスが来たら、管理職になることを恐れないでください。その理由をお話しします。
褒めるのは人前で? 叱るのは一対一で?
部下を持ったときに気を付けなければいけないのは「嫉妬の管理」です。特定の人を評価すると部下の間で嫉妬が生まれます。そうすると、モチベーションが下がったり、足の引っ張り合いのような事態を招くなど、マイナスの作用が生まれてきます。周囲の嫉妬によって、能力のある人間が力を発揮しにくくなったり、人間関係のストレスで精神的に追い詰められることもあります。
成果を上げている部下に対して別の部下が嫉妬心から強く反発している場合、「振る舞いには気を付けた方がいい」と嫉妬されている側に助言してもあまり意味がありません。嫉妬する側は相手が何をしても嫉妬しますし、自身が嫉妬などという低劣な感情を持っているとは思っていないからです。嫉妬している側にアプローチして、その人間のよい点を評価して褒めるとよいでしょう。
かつては、部下への接し方として、「褒めるときは人前で、叱るときは人がいない場所で」と言われていましたが、今はこの鉄則が当てはまりません。特定の人を皆の前で褒めると逆効果になってしまう可能性があります。ほかの人のやきもちを買うからです。皆の前で厳しく叱るのは、なおさら上司としてはやってはいけないことです。
優秀な若い人の中には、親や学校の先生から強く叱られた経験があまりないという人もいます。私たちの年齢から上の世代は、親や先生から怒鳴られることなども多く、免疫がありました。ところが、その部下にそうした免疫がない場合、少しでも強い口調で叱ると、人格を全否定されたかのように深刻に受け止めてしまう可能性があります。落ち込んで出社拒否になってしまったり、場合によってはパワハラで訴えられてしまう可能性さえあります。
そのため、上司の心構えとして、人前であれ一対一であれ基本的に部下を叱らないことが大事です。会社における指導の仕方はその人の育ち方に合わせる。褒めて育てるということを基本として、褒める量を変えることで対応するしかないでしょう。
部下の評価に使える二つのマトリックス
このように書くと、中間管理職というのは何とも面倒で報われないポジションのような気がしてくるかもしれません。そのことを察知して、そんな面倒なことに自分の人生を割きたくないと考える、能力の高い若い人も少なくないようです。あえて出世を望まず、専門職のような一プレーヤーとして仕事をして、組織のシステムから一線を画そうとする。それも一つの選択ではあるでしょう。ただし、私からするとそれはもったいない。
組織というのはピラミッドになっているので、ある程度の地位や立場にならないと見えてこないものがあります。管理職でしか体験できないこと、学べないことがある。上司となって部下を持つのは大変ではありますが、確実に自分を成長させてくれます。私個人の意見としては、部下を持つことで、人間に対する理解が深まり、人間の見方や対応の仕方を身に付けることができると考えます。
部下を評価するにあたって私がよく勧めるのが、「能力と意志を軸にしたマトリックス」(図1)と「『仕事の成果』と苦楽のマトリックス」(図2)です。
前者は人脈を広げる際に相手を見極める有効な方法ですが、部下に対しても使うことができます。
図1.意思と能力のマトリックス(「君たちの生存戦略 人間関係の極意と時代を読む力」p. 49より転載) 拡大画像表示
縦軸に能力値、横軸に意志を取ります。すると右上の第一象限が「やる気があって能力も高い」タイプ、左上の第二象限が「能力は高いのにやる気が低い」タイプ。左下の第三象限が「能力もやる気も低い」タイプで、これはもうどうしようもない。右下の第四象限は「能力は低いがやる気がある」タイプとなります。
この四つの中でどれが一番問題になるか? 一見、第三象限の「能力もやる気も低い」タイプと思うかもしれませんが、違います。組織の中で最も問題が生じるのは、第四象限の「能力が低いにもかかわらず、やる気だけがあるタイプ」です。
やる気だけはあるのでいろいろ取り組みますが、ところどころミスを犯したり、余計なことをしてしまう。かえって仕事を増やして周囲に迷惑を掛けるのがこのタイプです。ですから、上司としてはこのタイプの部下をどう押さえるかが一つのポイントになります。同時に、いかに本人のやる気に見合った能力を付けさせるかを考えないといけません。
第二象限の人に対しては、そのままにしておくと確実に第三象限に移行します。そうならないようにモチベーションを高めるための対処が必要です。







