佐川Photo:Diamond

コロナ禍の収束を待たずに、今度は資源・資材の高騰や円安が企業を揺さぶっている。上場100社超、30業界を上回る月次業績データをつぶさに見ると、企業の再起力において明暗がはっきりと分かれている。前年同期と比べた月次業績データの推移を基に、「嵐」から「快晴」まで6つの天気図で各社がいま置かれた状況を明らかにする連載「コロナで明暗!【月次版】業界天気図」。今回は、2022年10〜12月度の陸運・物流編だ。

佐川急便は3カ月連続で
前年同月比マイナスの事態に

 陸運・物流の主要4社が発表した2022年10〜12月度の月次業績データは、以下の結果となった。

◯ヤマト運輸(ヤマトホールディングス〈HD〉)の宅配便取り扱い実績
 10月度:前年同月比102.6%(2.6%増)
 11月度:同103.3%(3.3%増)
 12月度:同101.0%(1.0%増)

◯日本通運(NIPPON EXPRESSホールディングス〈HD〉)の国内売上高
 10月度:前年同月比105.1%(5.1%増)
 11月度:同100.8%(0.8%増)
 12月度:同97.3%(2.7%減)

◯佐川急便(SGホールディングス〈HD〉)のデリバリー事業取扱個数
 10月度:前年同月比99.7%(0.3%減)
 11月度:同98.2%(1.8%減)
 12月度:同97.5%(2.5%減)

◯サカイ引越センターの売上高
 10月度:前年同月比103.4%(3.4%増)
 11月度:同105.9%(5.9%増)
 12月度:同103.6%(3.6%増)

※ヤマト運輸の宅配便取り扱い実績は、これまで「宅急便・宅急便コンパクト・EAZY」と「ネコポス」の合計値を採用していたが、同社の開示方法が変更になったため、22年10月度から「宅急便・宅急便コンパクト・EAZY」のみの数値を採用する。

 ここで取り上げた4社の10~12月の月次業績を見ると、佐川急便が唯一、3カ月連続で前年実績を下回り、苦戦しているように見える。

 物流業界は、新型コロナウイルス感染症拡大の状況下で業績を伸ばした数少ない業界の一つだ。コロナ禍に見舞われてから丸3年経ち、「特需」を受けた業界に何か異変が生じているのだろうか?

 上記の月次業績の数字だけを見ると、佐川急便の「独り負け」状態のように映る。だがここで、新型コロナウイルス禍の影響を除いた数字を詳しく分析してみると、意外な数字があらわになった。次のページから詳しく解説していこう。