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日本人は年代を問わず、本音をオブラートに包みがちだ。インタビューのプロ、中村淳彦氏が実践する「悪魔の傾聴」は、コミュニケーション能力の有無とは関係なく、自然と本音を聞き出せるテクニックが詰まっている。相手の疑問や現状の答えを導き出し、関係構築へとつなげる方法とは。※本稿は、中村淳彦著『悪魔の傾聴』(飛鳥新社)の一部を抜粋・編集したものです。
否定しない。比較しない。
自分の話をしない
どんどん本音を引きだす悪魔の傾聴を習得するための前提スキルとして、相手に寄り添う「聞く会話」を身につけていきます。
まず、15~20分程度の初対面の相手との会話において、真っ先に聞き手のポジションをとって相手を主役にしてみます。
やることは、相手の興味を聞きながら、相づちを打ち、つなげていくだけです。相手を楽しませるために情報提供することもなければ、盛り上げる必要もありません。相手の話が面白かったら、自分の感覚に任せて笑いましょう。
しかし、人と会話するあらゆる場面で絶対にやってはいけないことがあります。
1 否定する
2 比較する
3 自分の話をする
この3つです。これは最重要項目なので、いまこの3行を何度も読み返して覚えてほしいです。
何かを薦めることはしない
会話で絶対にやってはいけない基礎的なことなので、お酒と食べることが好きな会社員女性との会話を想定して悪例を挙げていきます。
ケース1 否定する
相手「お洒落な店とか行きたい。けど、会社の帰りとか居酒屋になっちゃいますね」
自分「行きたいお洒落な店って、どんなところですか?」
相手「たまに行くのは池袋とかかな。会社が近いし」
自分「池袋はダメですね。本格的なシェフのいる青山とか麻布まで行かないと」
もっとお洒落な青山とか麻布を薦めたい気持ちがあっても、否定してしまった時点ですべて台無しです。相手のテンションはだだ下がりで、沈黙まで秒読みでしょう。
青山とか麻布を薦めたいならば、完全にタイミング違いです。早すぎます。質問によって池袋の店の話を聞き、もっと新しい店を知りたいという気持ちを確認、タイミングがあればそこで青山や麻布の提案をしてみます。
タイミングがなければ、薦めることは断念します。
否定は、せっかくの話がすべてダメになる破壊的な行為です。
比較例を出すと会話が終わる
ケース2 比較する
相手「お洒落な店とか行きたい。けど、会社の帰りとか居酒屋になっちゃいますね」
自分「居酒屋はチェーンですか? どこに行っています?」
相手「近所の庄やが落ち着くので好きかな」
自分「庄やもいいけど、磯丸水産はもっといいよ」
否定に似ていますね。非常によくない返答です。
「近所」で「落ち着くから」という理由を挙げているにもかかわらず、関係ない磯丸水産をだして比較しています。この場面で比較する必要性が一切ありません。
これが音楽や映画になると、もっとわかりやすくなります。たとえば一緒に鑑賞した『千と千尋の神隠し』をすごく楽しめたのに、相手が観ていない「『ハウルの動く城』と比べるとさ……」みたいなことを言いだしたら、せっかくの映画鑑賞が台無しでしょう。
相手が肯定している物事は、なにかと比べてはいけないのです。
話し手と聞き手を逆転させない
ケース3 自分の話をする
相手「お洒落な店とか行きたい。けど、会社の帰りとか居酒屋になっちゃいますね」
自分「居酒屋はチェーンですか? どこに行っています?」
相手「近所の庄やが落ち着くので好きかな」
自分「僕は断然、磯丸水産派。肉より海鮮が子どもの頃から好きでして」







