これがもし、世間一般の人々が高級レストランに対して思い描くような、お高くとまった雰囲気の動画を発信していたらどうだったでしょう。レシピの内容が同じだったとしても、誰もシェフのファンになることはなく、集客・宣伝効果もゼロに等しかったのではないかと思います。

 視聴者の反応を見ていると、企業がツンケンしている時代は終わったのだということを、つくづく実感します。現代の消費者は、高いところで澄ましこんでいる人や会社よりも、大衆レベルにまで降りてきてくれる人や会社の方がスマートだと評価するのです。

 もう一つ例を挙げると、私がプロデュースしている某経済専門誌系列の公式チャンネルも、本誌にくらべると相当くだけています。

 書店などで売られている紙の本誌の方は、青、白、黒などをベースにしたシンプルな表紙で、いかにも「おカタい経済誌」という雰囲気ですが、YouTubeのサムネイルのテイストは完全に「大衆向け週刊誌」のそれです。

 しかし、それによって読者が離れていったという話は聞きません。

 むしろ読者は減るどころか増えています。私がプロデュースする前は、本誌と同じようなお堅いノリでやっていたためチャンネル登録者数は900人前後と低迷していましたが、大衆誌テイストを採り入れてからは、ぐんぐん伸びて人気チャンネルの仲間入りを果たしました。

 高級レストランや硬派な経済メディアでさえ、お茶の間のレベルに合わせた大衆向けのコンテンツを発信しているのだから、あなたの会社だって躊躇する必要はありません。安心してのび太君向けのコンテンツを提供し、広く認知を獲得していきましょう。