「乳製品」で死亡リスクが減少!効果には男女で違いも【慶応大の研究より】Photo:PIXTA

 昨年末、経営悪化で日本の酪農家1万戸割れというニュースが全国を駆け巡った。

 乳製品は気軽に入手できる健康食品だが、その効果には性差があるとされてきた。そこで慶應義塾大学の研究者らは、日本多施設共同コホート研究のデータを使い、改めて乳製品と全死亡、がん死、心血管疾患死との関連を調べた。

 解析対象は既往がない7万9715人(女性57.2%、平均年齢54.7歳)で、乳製品の摂取については食物摂取頻度調査票を使い、「まれ」「月に1~3回」から「毎日3回以上」までの8段階で回答してもらっている。

 ちなみに、乳製品の総摂取量の中央値は、男性が66.0グラム/日、女性は127.5グラム/日だった。

 追跡期間中に3723人が死亡し、そのうちがん死が2088人、心血管疾患死が530人だった。

 乳製品の摂取量別に「高位」「中位」「低位」の3グループにわけ、男女で死亡リスクとの関連を調べた結果、男性ではヨーグルトの摂取量の「高位群」において、「低位群」よりも全死亡リスクが低い傾向が認められた。

 女性は乳製品の総摂取量と全死亡リスク減が関連し、牛乳の摂取量が増えるほど全死亡リスクとがん死リスクが減っていった。さらに、ヨーグルトの摂取量が増えると、全死亡・心血管疾患死リスクが減少したのである。どうやら女性は乳製品全般と牛乳が、男性および女性ではヨーグルトが死亡リスクの軽減に貢献するようだ。

 また「子どもの健康と環境に関する全国調査」でもヨーグルトの効果が注目されている。7万0276組の母子を対象とした調査では、1歳時から1~4回/週のヨーグルト摂取を続けている子は、3歳時点での発達遅延リスクが低下していることが判明したのだ。

 研究者は「腸内細菌が産生する神経伝達物質や腸内環境の改善による炎症の抑制が良い影響を与えたのだろう」と推測している。

 乳製品は乳幼児~成人まで男女問わず健康効果が期待できる食品だ。牛乳が苦手な場合は、ヨーグルトを食べて酪農農家を応援しつつ健康になろう。もちろん、アレルギーがある方は無理せずに。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)