それは異例というよりは奇異な発表だった。公明党の元代表代行、浜四津敏子の訃報だ。2月16日夕、公明党の広報からマスコミ各社の公明党担当記者に直接電話連絡があった。
「浜四津さんの死去が判明しました。死亡日時は2020年11月29日です」
当時、浜四津は75歳。2年以上も前に死去したことが、なぜ今ごろになって表に出てきたのか。公明党幹部によると、浜四津の死去を最初にキャッチしたのは共同通信の政治部記者だった。
「浜四津氏が亡くなっていたようだ」
この情報を確認するため参議院の事務局を取材した。その動きが公明党側に伝わり慌てて発表したというのが顚末という。この記者が取材に動いていなければ、浜四津の死は今も伏せられたままの可能性が高い。なぜ公明党は2年以上も浜四津の死を隠していたのか。17日に記者会見した幹事長の石井啓一はこう釈明した。
「遺族の意向が強かった。党としては異例の対応だ。時を経た発表となり理解いただきたい」
その上で、石井は浜四津が白血病治療に有効な臍帯血移植や不妊治療への保険適用に取り組んだことを業績として語ったようだ。しかし浜四津の政治家としての足跡を語るとき、それだけでは全く不十分だ。むしろ浜四津は今に連なる自公連立政権樹立に際して最前線にいた政治家だという点を指摘すべきだろう。