連合を軸にした自公国3党による「新連立政権」工作失敗の内幕2月19日、立憲民主党大会であいさつする連合会長の芳野友子。芳野は自民党大会にも出席するとみられていたが、実現には至らなかった Photo:JIJI

 第90回自民党大会は随所に非業の死を遂げた元首相、安倍晋三を追悼する演出が施された。生前の安倍の映像が流れ、安倍自身がピアノを弾いたことでも知られた東日本大震災の復興を応援する「花は咲く」が演奏された。そしてこの日の主役、首相の岸田文雄もあいさつで安倍の事件に触れた。

「本年と昨年の党大会を比べると、失ったものの大きさを実感せざるを得ない。一報を聞いてヘリで官邸に戻ったときのあの気持ちは、今でも忘れることはできない」

 ここまではシナリオ通りと言ってよかったが、運動方針が示した筋書きとは明らかに食い違った。

「連合や友好的な労働組合との連携強化。働く人の側に立った雇用労働政策の充実を目指す」

 この運動方針通りの大会ならば、会場となった「グランドプリンスホテル新高輪」に連合会長の芳野友子がいなければならなかったが、最後まで芳野が姿を見せることはなかった。芳野は2021年10月、女性として初めての連合会長に就任。以来、自民党組織運動本部長の小渕優子と協議を積み上げ、確かな信頼関係を醸成してきた。

 岸田自身も1月5日、東京・東日暮里のホテルで開かれた連合の新年交歓会に足を運んだ。岸田がこの新年交歓会に出席したのは昨年に続いて2年連続。岸田はあいさつで連合側にエールを送った。

「経済好循環の中核は賃上げだ。インフレ率を超える賃上げを政府も後押ししたい」

 芳野も岸田の出席を「非常に光栄に思う」と歓迎した。その延長線上に2月6日の岸田・芳野会談がセットされた。この中で芳野は労働側の強い要望だった「政労使会議」の再開を要請した。