安倍晋三元首相の銃撃事件を発端として、宗教と「政治・カネ」への関心が大きく高まっている。しかし、宗教への無理解が誤解を生む側面も無視できない。そこで、経済メディアならではの視点で新宗教を切り取った週刊ダイヤモンドの特集を再掲し、特集『「新宗教」大解剖』としてお届けする。#4では、新宗教界随一である創価学会の集票力の秘密と、そこに起きた異変を探る。
創価学会にとって選挙支援活動は
宗教活動と表裏一体の関係
国内屈指の組織票を誇るのが創価学会だ。公明党を支えるその集票力の秘密は何か。
それを知るには、会員の“平時”の活動を知らなければならない。選挙戦において公明党候補者への理解を広めることは、信仰上の「折伏」(勧誘)に通ずるものと会員は捉えており、選挙支援活動と宗教活動は表裏一体の関係を成すからだ。
まずは全ての会員が所属する組織構成から押さえる必要がある。
全国津々浦々に広がる学会組織の末端に当たるのが、「ブロック」と呼ばれる単位だ。地域によって異なるが、1ブロックは10~20程度の学会員世帯で構成される。さらに2~4程度のブロックを束ねたものが「地区」となる。なお、この「横組織」であるブロック制は、反創価学会の旗手、立正佼成会も同じだ。
この地区こそが、学会活動の最前線拠点だ。各地区では基本的に毎週月曜日に地区協議会が開催され、参加者は「聖教新聞」の啓蒙(勧誘)や知人への仏法対話の進捗状況などを報告する。
ある会員は「新聞啓蒙を『これだけやりました』と報告すると、皆に拍手でたたえられる。『功徳を得られる』と言われるとうれしいし、モチベーションも上がる。集団心理の使い方がうまい」と話す。
協議会では上位組織からのノルマが示され、地区の活動家はその達成に向け友人らへの家庭訪問を日常的に繰り返す。
こうした平時の活動が、ひとたび選挙戦に突入すると凄まじい威力を発揮することになる。学会の活動家が公明党への支援依頼を行う「F(フレンド票)取り」の主な対象となるのは、こうした日々の活動を通じて知り合った友人や知人が中心になるからだ。
次ページでは、創価学会の「マル秘選挙隠語集」をご紹介するとともに、学会員たちの選挙支援活動の実態を明らかにし、新宗教界随一である創価学会の集票力の秘密を探る。さらに、その集票力に起きた異変に見る「崩壊の兆し」に迫る。