仕事を辞めてから家を買うと
ローンの審査を通らない
年収が285万円、年間支出が100万円なので、年間黒字額は185万円です。当面はこの金額を全額貯蓄に回す前提で、「3~10年以内に退職する」「戸建てのマイホームを購入する」という夢の実現可能性を探っていきます。
試算を進めるにあたって、Vさんに知っておいてほしいことがあります。退職して無収入になると、住宅ローンの審査を通過する可能性は極めて低いのが現実です。仕事を辞めてから家を買う場合、原則として住宅ローンを組むことは難しいでしょう。
金融資産が多い方が審査も通りやすくなりますし、物件を買った後の生活も安心です。そこで今回は、Vさんの退職時期を今から10年後とします。
物件を買うのは折り返し地点の5年後で、そこからの5年間はローンを支払いながら働き続けることにします。購入価格は相談文に記載のある3000万円とします。
その場合、5年後の金融資産額は2850万円に925万円(185万円×5年間)を加えた3775万円になっているはずです。そこから戸建て住宅の頭金として1500万円、手数料などの諸費用として150万円を支払うと仮定すれば、残る金額は2125万円です。
住宅ローンは「借入金1500万円、金利2.0%、返済期間30年」で組むとします。この場合、毎月の返済額をシミュレーションすると5万5442円という結果になりました(返済額は、使用するシミュレーションにより数円異なります)。
かなり中途半端な金額ですので、固定資産税や火災保険料なども織り込み、住居費は毎月6万4000円とします。現在の家賃は月3万円と書かれているため、そこから負担額が月3万4000円増える計算です。増加分を年換算すると40万8000円です。
このため、マイホーム購入後の年間黒字額は、先ほど算出した金額(185万円)よりも40万8000円低い144万2000円になります。
そうすると、家を買ってから退職するまでの5年間で721万円を貯蓄できます。今から10年後の金融資産は、先述した2125万円に721万円を加えた2846万円です。
ここで一つ提案があります。メルカリ取引などで生活費をまかなっているとはいえ、退職後に住宅ローンを長年支払い続けるのは精神的な負担になることと思います。この負担を解消するため、退職時に残りのローンを一括返済してはいかがでしょうか。
今回は一例として、一括返済するパターンで試算を続けます。筆者のシミュレーション上、この時点での住宅ローン残高は1308万680円です。上記の2846万円からこの金額を支払った残りは1537万9320円です(便宜上1538万円とします)。