日本郵政グループCDO 兼 JPデジタルCEO 飯田恭久さん日本郵政グループCDO 兼 JPデジタルCEO 飯田恭久さん Photo by Mayumi Sakai

2021年、日本郵政グループのDXを推進するために作られた会社が「JPデジタル」だ。全国2万4000の郵便局、40万人以上の従業員という巨大な日本郵政グループのデジタル化というミッションを背負ったJPデジタルは、社員約30人と極めて小規模な組織からスタートした。そんなJPデジタルが結果を出すためには、専門性の高い人材・チームが必要だ。スペシャリストを育成し、ジョブ型雇用を伝統的な日本企業に合った形で取り入れるにはどうしたらいいのか。JPデジタルCEOの飯田恭久さんに話を聞いた。(ノンフィクションライター 酒井真弓)

日本郵政グループのJPデジタルが導入した「スクラム」とは

 これまで多くの日本企業では、幅広い知識と経験を有するジェネラリストの育成が重視されてきた。しかし、ことデジタルの領域において顧客の期待に応え続けるには、専門性を生かし、競争優位性を高められる人材・チームが必要だ。

 2021年7月に設立された日本郵政グループのDX子会社「JPデジタル」では、スペシャリストの登用と“個”の成長を目的に、同年8月、スクラムを導入した。スクラムとは、アジャイル開発のフレームワークの一つで、少人数のチームに分かれて短期間の開発サイクルを繰り返し、成果を上げる方法だ。そのエッセンスは、さまざまなチームに適用でき、ソフトウェア開発以外のチーム運営にも生かされている。

 なぜ、JPデジタルはスクラムを導入し、スペシャリストの育成に舵(かじ)を切ったのか。そもそも、スクラムをどう活用すればスペシャリストの育成につながるのか。ダイソン日本法人社長や楽天アメリカ法人社長を歴任し、2021年に日本郵政グループCDO 兼 JPデジタルCEOに就任した飯田恭久さんに聞いた。