auカブコム証券の二宮明雄会長兼社長は、手数料以外に付加価値を見いだすと強調。メガバンクと大手携帯キャリアという顧客基盤を生かしつつ、システム強化で規模拡大を狙う。特集『ネット証券 ゼロの衝撃』(全6回)の最終回では、二宮氏に今後の規模拡大に向けた戦略を聞いた。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)
唯一のメガバンク傘下、auも
SBI、楽天との差をどう埋める?
――auカブコム証券は、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)とKDDIグループの共同出資で、潜在的な顧客基盤は非常に大きなものがあります。どのように生かしますか。
当社は主要インターネット証券5社の中で唯一、メガバンクグループの子会社であり、大手通信キャリアとのジョイントベンチャーでもあります。ここに付加価値があると考えており、そのブランド力を生かしてサービスの展開を考えるということが重要です。
――ここ3、4年の間、SBI証券と楽天証券が大幅に口座数を増やしました。auカブコム証券の口座数はそこまで伸びませんでした。なぜだとお考えですか。
主要ネット証券では唯一、メガバンクグループ傘下であり、かつ大手携帯電話キャリアの一角であるKDDIもほぼ折半で出資するのがauカブコム証券だ。カブドットコム証券時代から長年社長を務めた齋藤正勝氏が21年に退任。出資先の2社が主導する傾向が強まった。一方で収益規模では主要5社の中で最下位に甘んじる。「貯蓄から投資へ」の掛け声の下、MUFG出身のトップはどのような成長戦略を描くのか。