3メガバンク最終決戦#5Photo:JIJI

6月23日、三井住友フィナンシャルグループ(FG)が、SBIホールディングス(HD)に出資すると発表した。SBIHDといえば、創業当時からメインバンクはみずほ銀行だ。にもかかわらず、なぜSBIHDに出資したのはみずほフィナンシャルグループではなく、三井住友FGだったのか。特集『3メガバンク最終決戦!』(全9回)の#5では、三井住友FGとSBIHD、そしてみずほ銀の、三者三様の思惑について明かす。(ダイヤモンド編集部 新井美江子)

三井住友とSBIが華々しく発表した提携は
実は“異例”ずくめの様相を呈している!?

「三井住友フィナンシャルグループ(FG)は、SBIホールディングス(HD)の“お財布”になる覚悟をしたということだろう。だが、そこまでするメリットはどこにあったのか」(メガバンク関係者)

 三井住友FGとSBIHDが6月23日、包括的資本業務提携を結ぶと発表した。三井住友銀行と三井住友カード、SBI証券の3社で、個人向けデジタル金融サービスの提供などを行っていく。7月11日には三井住友FGが、SBIHDの第三者割当増資を引き受け、796億円を出資。SBIHD株の約10%を保有する同社の大株主にもなった。

 メガバンクグループの一角を占める三井住友FGと、オンライン証券最大手グループであるSBIHDの、華々しい本格タッグの発表だ。だが、この資本業務提携は“異例”ずくめの様相を呈している。

 例えば、三井住友FGが出資した先が、SBI証券ではなかったことだ。資本業務提携の主軸は三井住友銀と三井住友カード、SBI証券の連携であるはずなのに、医薬品や再生可能エネルギー、アフリカへの中古車販売など、金融機関としてシナジーを出しにくそうな事業にも多角化する持ち株会社の方に出資した。

 しかも三井住友FGはその出資額796億円を、来年1月(予定)の業務提携の最終契約締結日を迎える前に、SBIHDに払い込んでいるのだ。これでは冒頭のように、「三井住友FGがお財布にされる覚悟をした」とみられても仕方あるまい。

 SBIHDにしても、メインバンクは創業当時からみずほ銀行(旧富士銀行)だ。それを差し置いて三井住友FGの出資を受け入れながら、「メインバンクは引き続きみずほ銀にお願いできるものと考えている」(SBI証券幹部)と、事もなげに語っている。

 三井住友FG、SBIHDに、みずほ銀――。次ページでは、今回の提携を巡る微妙な“三角関係”における、三者三様の思惑について明かす。