書影『韓国の借金経済』『韓国の借金経済』(扶桑社)
シンシアリー 著

 ジオッコ繋がりで、彼らに住宅関連でなにかの支援があるのか、見てみます。基礎受給者が受けられる支援には、収入によって「生計給与」「医療給与」「住居給与」「教育給与」があります。

 以下、全て「2022年基準・一人世帯基準」の場合にしますと(世帯構成員数によって違います)、月収58万ウォン以下の人は、四つの恵沢をすべて受けることができます。月収58万ウォン超え~78万ウォン以下の人は、医療・住居・教育給与を受けることができます。78万超え~89万ウォン以下までは住居・教育給与が受けられます。89万超え~97万ウォン以下は、教育給与だけが受けられます。

「生計給与」とは、58万ウォンから実際の月収を引いた分(例えば月収50万ウォンの場合、8万ウォン)を支援金として受け取ります。「医療給与」は医療費が多少安くなる、「教育給与」は授業料が多少安くなる制度で、住居費支援は「住居給与」になります。住居費支援も月収などでいろいろ変わりますが、一人世帯の場合、最大で33万ウォンで、KBSの記事に出てくる人の場合、住居支援として20万ウォンを受け取る、とのことです。

 ただ、これは月収89万ウォン以下の人たちに適用される制度なので、たとえば、バイトを増やすとかで収入が増えて月収89万ウォンを超えると、この20万ウォンの住居費支援が受けられなくなります。韓国の福祉関連政策全般で見られる「働けば、支援金がもらえなくなる」謎の現象が、ここにも現れているわけです。

 働いてもある程度まとまったお金を稼ぐ自信が無い人たちからすると、「働いてお金を稼げば、ジオッコにもいられなくなる」ことなので、リアルで「働いたら負け」だと思わざるをえない、そんなところであります。