エコノミストの経済見通しにこれほどの開きが生じるのは景気後退期を除けばごくまれで、賢明な投資家も自らの予測にあまり自信を持っていないはずだ。資金運用に苦労する時代である。先行きが見通しづらくなる時には必ずそれなりの理由があるものだが、いま不透明感が増しているのは、極端に低い失業率がいつまでも続く「ノーランディング(無着陸)」と、「ハードランディング(強行着陸)」および景気後退という正反対の結末がどちらもあり得るからだ。米経済が発するシグナルは今年、エコノミストや投資家を特に不安にさせている。1月に予想外に強い統計が発表されたことで、昨年に増えつつあった景気減速の兆候が一掃されてしまったためだ。エコノミストらは低成長を見込んでいるが、その程度を巡っては普段よりも意見が分かれている。コンセンサス・エコノミクスがまとめた米国の実質国内総生産(GDP)成長率予測の最高値と最低値の差は、2020年以来の大きさに広がった(2年後の成長率予測の最高値はプラス2.2%、最低値はマイナス0.7%)。