日銀総裁が交代も
マンション価格高騰は継続か
こうした金融政策をつかさどるのは日本銀行であり、金融緩和を続けてきた現総裁・黒田東彦氏の任期は23年4月頭で終了する。
次期総裁候補の植田和男氏も、これまでの金融緩和策を踏襲する見込みだという。植田氏の任期は5年だ。そのため、今後5年間は不動産価格の上昇が続く可能性が高い。
マンションの開発期間は約2年なので、植田氏が任期満了を迎える28年に開発が始まった物件は、30年頃まで価格が上昇するかもしれない。その場合、計7年にわたって価格上昇が続くことになる。
筆者は冒頭で「価格が上がれば供給戸数も減る」と書いた。実際に今後も価格が上がり続けた場合、22年に3万戸割れした新築分譲マンションの供給戸数は、今後も減り続けていくだろう。
そこで筆者は今回、過去のデータを基に、今後の展望を試算してみた。
11年に4578万円だった首都圏の新築マンション価格は、22年には6288万円まで値上がりした。この間、年平均で169万円値上がりしている。
※編集部注:記事中の数値は近似曲線を用いて筆者が独自試算しているため、単純計算した結果とは異なる(以下同)。
このペースが続くと、3年後の26年には7000万円に近づき、9年後の32年には8000万円の声を聞くことになる。
また、11年に5万6478戸だった首都圏の供給戸数は、22年には2万9569戸まで落ち込んだ。
こうなると、28年に供給戸数は2万戸、35年には1万戸を割り込む計算になる。かつては10万戸近く供給されていた首都圏の新築マンションは、価格の上昇とともに希少なものになることが予想される。
次は、首都圏の中心地である都区部(東京23区)に絞ったデータを見ていこう。
東京23区の新築マンション価格は、11年に5339万円だったのに対し、22年には8236万円まで高騰した。11年以降のペースでは、28年に平均価格が1億円を超える。
11年時点での供給戸数は1万9410戸であり、首都圏全体に占めるシェアは43.6%だった。そこから一転、22年の供給戸数は1万797戸、シェアは36.5%と、こちらも減少傾向が続いている。14年は2万774戸の供給だったので、わずか8年で半減した計算になる。