マンション価格高騰、新築の立地悪化の今こそ物件購入「3年ぶりの好機」な訳Photo:PIXTA

不動産業界が「巣ごもり需要」に沸いたのも今は昔。2022年は新築分譲マンションの供給戸数が3万戸を割り込み、「コロナ特需」は終焉を迎えた。売り手側にとっては厳しい状況だ。だが、資金力がある買い手側にとっては、今こそが優良物件を選ぶ上での絶好機だといえる。その理由と物件選びのコツを解説する。(スタイルアクト(株)代表取締役/不動産コンサルタント 沖 有人)

「巣ごもり需要」から一転し
「コロナ特需」が終焉

 2022年は、首都圏における新築分譲マンションの供給戸数が2万9569戸(前年比12.1%減)に沈み、3万戸を割り込んだ(不動産経済研究所調べ)。同じく中古マンションの成約戸数は3万5429戸で、前年実績から11.0%減少した(東日本不動産流通機構調べ)。

 少し前までは、新型コロナウイルス感染拡大に伴う「巣ごもり需要」によって、持ち家購入検討者が増加していたはずだった。筆者はこれを「コロナ特需」と名付けているが、その特需は終焉を迎えたと言っても過言ではないだろう。

 だが実は、この特需の終焉は以前から予測できるものだった。まずは21年1月の段階で、注文戸建ての着工戸数が首都圏で前年より減り始めた。そして、ピークアウトが早かった戸建て特需に続いて、マンションの売れ行きも緩やかに悪化していった。

 その結果が冒頭の数値に繋がっているわけだが、戸建てよりもマンションの方が「コロナ特需」の終焉が遅かった要因は二つある。

 一つは、マンションの販売期間が長いことだ。

 分譲戸建て市場では、竣工したら軒並み値引きしてでも売り切る販売戦略を取る。それに対して、分譲マンションは竣工のかなり前から売り出しているにもかかわらず、竣工後に買い手が付くまでに時間を要することもある。

 竣工した後に分譲マンションを慌てて売ることも少なくなった。だからこそ、売れ行きの落ち込みが数字として表れにくかったのだ。