インド経済「22年ぶり高成長」の期待と現実、人口世界一で注目もくすぶる課題Photo:PIXTA

インドは総人口が今年中にも中国を上回り、世界一になる見通しだ。今後も高成長への期待は高いものの、実は課題も少なくない。そこで定量データから多角的にインド経済の実態をひもとき、虚実を浮き彫りにした。(第一生命経済研究所経済調査部主席エコノミスト 西濵 徹)

今年中にも総人口が世界一へ
インド経済に交錯する期待と現実

 国連による最新の推計で、インドは今年中にも総人口が中国を超え、世界1位になるとみられている。中国の総人口が昨年61年ぶりの減少に転じる一方で、インドは今後も中長期的に安定した人口増加が見込まれている。

 2000年代以降のインド経済は、家計消費をはじめとする内需を牽引(けんいん)役として高成長を実現し、経済規模を急拡大。人口増加の見通しは、今後もそうした経済成長が続くとの期待につながっている。

 なお、ここ数年のコロナ禍に際しては、同国でも感染拡大に見舞われ、感染対策を目的とする行動制限の影響で景気に大きく下押し圧力が掛かった。このため、四半期ベースで経済成長率(前年同期比)が初めてマイナスに陥るとともに、年度ベースでも2020~21年度の経済成長率は5.8%減と、41年ぶりのマイナス成長だった。

 しかし、その後は感染一服による経済活動の正常化を受けてペントアップ(先送り)需要が発現し、家計消費をはじめとする内需が押し上げられた。さらに、欧米など主要国を中心とする世界経済の反発を追い風に、外需も底入れの動きを強め、内・外需双方で景気回復が進んだ。

 こうした動きも追い風として、21~22年度の経済成長率は前年がマイナス成長に陥った反動も重なり、9.1%増と22年ぶりの高成長を実現した。半面、昨年以降はウクライナ情勢の悪化をきっかけとする商品高が世界的にインフレを招くなか、インドは国内原油消費量の約7割を中東などからの輸入に依存しており、食料品やエネルギーといった生活必需品を中心にインフレが顕在化している。

 以降では、高成長への「期待」が大きい一方で課題も少なくないインド経済の実態をさらにつぶさにひもとき、その虚実を浮き彫りにしていく。